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私が、はじめて業者に不用品回収を依頼したのは、父がなくなってしばらくしてからのことでした。

父は、住居とは別に自分の荷物置き場として、安い家賃のアパートを借りていました。父がなくなるまで、私はその部屋に足を踏み入れたことはありませんでした。父が亡くなってから、遺品の中にアパートの鍵を見つけました。住所を頼りに、一人でアパートへ向かいました。

アパートは、六畳一間の1階でした。入ってみると、そこは物の山でした。飲み物の空き容器も、ゴミも本も、私からみればごみとしか言えないようなものが、部屋には置いたままになっていました。私は、葬儀の疲れもたまっていたため、とても部屋一つ分の片付けをする気力も体力もありませんでした。

ざっと、貴重品だけを持ち帰りました。貴重品といっても、住居ではないため貴重品らしきものはほとんどありませんでしたが。

私は、帰宅してからインターネットで不用品回収業者を探しました。そこで初めて目にしたのが、遺品整理という言葉だったのです。確かに、私の目にはゴミのように映っていたものでも、遺品であることは確かでした。

私は、業者に依頼して、部屋を丸ごとお願いすることにしました。通常の不用品回収であれば、タンスが一つに自転車が一台と細かく回収品目を指定するのですが、私の場合は部屋一つ、だいたいトラック一台あれば回収できる量という、ざっくりした依頼でした。

回収当日は、若い男性が三人きました。トラックを近くに止めると、部屋にあるものを片っ端から乗せて行きました。タンスも机も、中身が入っている段ボールも本も「不要」という一つのくくりですべて回収していきました。

「遺品」という言葉には、単にモノでは片づけられない響きがあります。しかし、不用品回収業者からみれば、モノは「いるものでなければ不用品」であるだけなのです。私の場合も。部屋にあるほとんどものは不用品でした。

しかし、私が一人でかたづけをしたならば、いちいち考えながら片づけてしまい、膨大な時間と体力を消耗したでしょう。遺品整理には、ある程度のクールさが必要です。時と場合によっては、客観的に処分をしてくれる不用品回収業者に委託することも、合理的なのではないでしょうか。